初めまして、管理人のKildareです。
このサイトはImage Comics,Incから1992年5月に出版されたAmerican Comics "SPAWN" を中心に関連のコミックスなどを紹介しております。

―アメリカン・コミックスの閉塞感について-

アメリカン・コミックスはさまざまな出版会社から出版されており、それぞれの出版会社ごとに特性があります。
老舗の一つ DC COMICSでは著名な作品に"BATMAN" "SUPERMAN"などがあり、アニメーションや、テレビ、映画による実写化もされました。
現在 DC COMICSでは"The New 52!"と称して「リランチ」(世界感の大幅な改変)が行われています。今まであったキャラクターの 設定や構造を再構築し、新たなシリーズとしてスタートさせることです。またそれぞれの主人公が集結したヒーローチーム「ジャスティス・リーグ(JUSTICE LEAGUE)」もそれぞれの主人公の新たな設定に基づき、新しいストーリーが発表されています。

一方 MARVEL COMICSでは、"Iron Man" "Spider-man" "Captain America" "X-Men"などのコミックス作品の出版と並行して映画化を頻繁に行なっており、それぞれの主人公が一同に集まって結成した「アベンジャーズ(Avengers)」というチームによる、コミックス作品や映画などの発表が行われています。
MARVEL COMICSでは「Marvel Unverse」という世界設定を行っており、最もポピュラーな設定である"Earth-616"を始めとして様々な設定に基づいたUniverseが存在します。そこには物語の途中で死んでしまったヒロインが「死んでいなかったら・・・」という設定の元に作成されたコミックスなどもあり、幅広く、奥深いキャラクター設定が行われております。
但し、DC COMICSにしろ、MARVEL COMICSにしろ、このような設定変更が行われているのには一つの大きな要因があります。それはそれぞれの作品が持つ閉塞感があげられます。それは「終わりのない闘い」という閉塞感です。
例えば"BATMAN"を例に挙げると、彼の存在はあくまでも自警団に過ぎず、悪役(ヴィラン)を捕らえてもが止めを刺すことはしません。そうして捕らえられた悪役などは、"BATMAN"ではゴッサム・シティの近くに存在する、アーカム・アサイラム(Arkham Asylum)という架空の精神病院、事実上の刑務所に収監されるのですが、ジョーカーなどの悪役は容易に脱獄し、また"BATMAN"の前に現れます。
悪役(ヴィラン)の存在はアメコミにおいては主人公の引き立て役だけには留まらず、悪役自身が主人公としてコミックス作品に登場することも稀ではありません。そういう意味では悪役は「第二の主人公」といっても過言ではありません。
しかし、同じ主人公、同じ悪役たちが登場し続けるコミックスには「終わりが見えない閉塞感」が漂うのです。
"BATMAN"ではこの閉塞感を打ち破る作品として、フランク・ミラー原作の"BATMAN:The Dark Knight"で、ついに"BATMAN"がジョーカーを殺害します。それは今までのアメコミにはなかった展開であり、当時のファンにとっては衝撃的な作品となりました。
一方、MARVEL COMICSにおいても"Spider-Man"ではヒロインの死に直面するといったシリアスなストーリーを踏まえたうえで、「最愛なる隣人 Spider-Man」を演じてはいますが、やはり決まった悪役達との闘いを続けています。
一つの節目となった作品として「Civel War」が挙げられます。アメリカ合衆国が施行したスーパーヒューマン登録法(Superhuman Registration Act)という架空の法律を元に、マーベルヒーローたちが賛成と反対のそれぞれの立場に立ち、二つの派閥に別れる事になったという展開が繰り広げられるなかで、"Spider-Man"であるピーター・パーカーは記者陣の前で自分の正体を明かして、賛成の意志を示しました。(スーパーヒューマン登録法では、ヒーローは正体を明かして政府の管理下に属することが前提とされています。)
このことは後にピーターを苦しめることになる決断であり、結局、主導者であるトニー・スターク(as Iron Man)の元を去ることとなります。そして後に残されたのは、正体を明かした自分とその周囲の人たちを危険に晒すようになったという現実でした。
この現実に対して"Spider-Man"を救ったのは2007年に展開した作品「ワン・モア・デイ」でした。
ピーターとMJは、狙撃されて死に瀕した叔母・メイの命を救うために「悪魔との契約」という選択をします。その契約によって、正体を公表したことなどを現実の歴史から消し去ることもできました。但しその代償は「ピーターとMJとの結婚を歴史から消失させること」でした。
これにより"Spider-Man"は1970年代後半から30年程に起こった事件のほとんどが「無かったこと」になりましたが、また一つ、Universeを増やす結果となりました。Universeの増加は新たな設定でのコミックスを楽しめることと同時に、乱立する主人公の設定によってややもすると読者を置き去りにしかねないという悪影響もあります。売上部数が伸びない作品はストーリーが途中でも続刊を打ち切ることが悪習となっているアメコミ業界では、どの作品を読み続ければいいのか、どの作品がどこと繋がっているのかが分からなくなることが多々あります。
閉塞感を打ち破る主人公の設定変更は、読者の興味を失いかねない「諸刃の剣」でもあるのです。

-アメリカン・コミックスにおける版権の問題について-

先に述べたように、閉塞感からの脱出としてキャラクター設定に手を加え、物語をリスタートさせる傾向に大きく寄与している原因がもう一つあります。それはアメリカン・コミックスが長年続けてきた悪習ともいうべき問題で、それぞれのキャラクターの版権(著作権)を持っているのが出版社であることによるものと言えます。
日本の漫画でも「打ち切り」というものがあります。アニメーションの世界ではよく耳にする言葉です。
アメリカン・コミックスでも同様に出版をキャンセルすることは多々あります。その大きな要因は売上部数の大小によるものです。「人気のない作品を平気で打ち切る」 これはアメコミ業界では当たり前のことです。ではそうならないためには何をするのか。それは「作品へのテコ入れ」、つまり設定変更という手段があるわけです。
また、そうした設定変更を容易にしているのが、キャラクター版権を出版会社が持っていることが挙げられます。売れる作品にするのに「原作者」といった版権を持つ者の顔色を窺う必要はないわけです。
Stan Lee(スタン・リー)は有名なアメリカン・コミックス原作者であり、"Spider-Man" "X-Menなどの多くの作品の原作を手掛けてきました。ですが、その彼にして、「自分の仕事は所詮雇われ仕事に過ぎない」と自分が原作したコミックの著作権が全て会社に帰属することが圧倒的に多いアメリカン・コミックスの現状を皮肉ることがあります。

-SPAWN-

ここまで大変長い前置きがありましたが、管理人である私がSPAWNを愛してやまない理由を述べるためには必要な前置きでした。SPAWNの原作者であるTodd McFarlaneはDC ComicsやMARVEL COMICSでは人気の作家でした。有名なところでは"Spider-Man"の悪役Venom(ヴェノム)をデザインしたことが挙げられます。そんな彼はアメリカン・コミックスの悪習である「版権」問題に異を唱え、数名の作家とともにImage Comicsを設立しました。「漫画家に著作権が帰属する。」 日本では当たり前のようなことをアメリカン・コミックス業界が達成することに成功したのです。
SPAWNが1992年に発売すると同時に大ヒットし、また空前のブームともいえる「フィギュア・ブーム」の成功も大きく貢献しました。SPAWNというコミックスがどれだけの読者のハートを鷲掴みしたかが窺い知れます。
「漫画家に著作権が帰属する。」というスタンスの元に作られた作品SPAWNは原作者であるTodd McFarlaneの意向が強く反映しており、ストーリーを他の作家に任せることが多くなった時でも、その世界感は大事にされてきました。
2012年前半よりTodd McFarlaneは再びストーリーを手掛けるようになり、現在 250巻を超えるというロングセラー作品となりました。SPAWNという作品は原作者がその世界観を大事にしていると同時に、読者もその世界観に浸りながら読み続けていける作品であるわけです。

アメコミでは主人公が他のタイトルに登場することは珍しくありません。但しDC Comics、Marvel Comicsなどではこのような出演があまりにも頻繁に行われ過ぎていて、コレクションすることがほぼ不可能の状態です。SPAWNも他のタイトルへの登場することがありますが、かなり管理された状態で登場するため、20年以上も連載が続いているにも拘わらず、その件数は数十件程度となっています。
そのため、日本人のコレクターであって、Mycomicshop.com、Amazon.comなどを利用しながらSPAWNがカメオ出演しているコミックスなど収集することが出来ました。SPAWNがきちんと管理されていることによって、コレクターにとっても収集しやすいというメリットがあるのです。

-サイト・タイトルについて-

ところでサイトを立ち上げる際にhttp://spawncomics.jpという素晴らしいURLを手にすることが出来ました。そこでサイト・タイトルも負けないような良いものをと考えました。"Kildare's comics collection"というのが最初に浮かんだタイトルだったのですが、いまいちインパクトに欠けていました。そこで気になったのが、タワーレコード株式会社さんがキャッチ・フレーズで使用している"NO MUSIC,NO LIFE"でした。調べたところ、このフレーズは商標登録されておりました。ただ、全く新しいフレーズではなく、英語のことわざでNo pain (or pains), no gain (or gains).《苦労なくしては利益はない》があります。そこでなんとか使えないものかと考えました。答えとしては"NO ~,NO ~は真新しいフレーズではなく古くから使用されているもので、タワーレコード株式会社さんと全く一緒である"NO MUSIC,NO LIFE"でなければ抵触しない。または商用で使用するのでないのであれば、黙認されるもの"というものでした。まぁ、日本人の、アメリカンコミックス好きが立ち上げた私的なサイトですので、ご迷惑はかけないつもりです。

-著作権について-

アメリカンコミックスに限らず、書籍や雑誌、新聞などの著作物を複写(コピー)する場合は、原則、著作者や出版社など権利者の承諾を得る必要があります。個人が個々に権利者の承諾を得るのは容易ではありません。例えば公益社団法人日本複製権センター(JRRC)などを通じて承諾を得ることが出来れば問題がないことになります。但し、権利者の利益に反しないような利用の仕方であれば,例外的に許されますこともありえます。当サイトではコミックスを紹介する際に表紙やカットを表示しておりますが、その使用においては商用的行為がないことをここに宣言致します。

-管理人の名について-

管理人の名であるKildareは、イメージ・コミックスで出版されたコミックス「ARIA」の主人公の名前です。ニューヨークで本屋を営むLady Kildare。実は妖精界の王女で、仲間と一緒に人間界で暮らしています。2003年までシリーズが続きましたが、その後は出版されていません。読み方としてはキルダー、キルデア、フランス風で読むとキルダールとなります。とても大好きなキャラクターでコミックスをコレクションしていたのですが・・・ Angelaが登場した「ARIA/ANGELA」もとても面白い作品です。びっくりしたのが、Kildareという競走馬がいたこと。またアイルランドにも「キルデア州」という地名があります。町田にはアイリッシュパブ・キルデアという店もあります。 特に女性名というわけではないので、いろんなところでハンドルネームとして使っています。

McFarlane Productions,Inc.The Spawn character is (c)1992 Todd McFarlane Productions,Inc. All rights reserved.
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