フィリップ・K・ディック
フィリップ・K・ディックはアメリカのSF作家として活躍した人物である。
作品では「現実の崩壊」をテーマとしたものが多く、主人公を取り巻く日常の世界が実は構築された幻影であることに本人が気づいていく場面は 読者をも「非日常の世界」へと誘うものであり、ディック作品を愛するファンにとって次の作品へと読み続ける大きな要因となっている。
生前においても1963年 に『高い城の男』がヒューゴ―賞、1975年に 『流れよ我が涙、と警官は言った』がジョン・W・キャンベル記念賞、 1978年 『スキャナー・ダークリー』が英国SF協会賞を受賞しており、高い評価を得ていたが、実情としてはエース・ブックスなどの原稿料の 安いSF出版会社にしか相手にされなかったという面もある。そのため生前においては決して裕福とは言えなかったが、そのことが逆にディックに 次の作品へ取り込むようにする原動力にもなっていた。

1928年12月16日 誕生
1982年3月2日 没
国籍 アメリカ合衆国
ディックは『Do androids dream of electric sheep?』の映画化権を売り、 作品は1982年6月に映画『ブレードランナー』として公開されたが、その時には既に彼は亡くなっていた。だが公開に先立ち、チャンネル7 "Hooray For Hollywood"で放映された『ブレードランナー』の映像を観る機会があり、『ブレードランナー』の製作者 ジェフ・ウォーカーに宛てた書簡*1では、その映像に対して高い評価を伝えている。
没後、多くの作品が映画化されるようになり、SF界の巨匠として評価されるようになっていった。
SF長編作品
SF長編作品に関してはかなり邦訳本が出版されているが、ロジャー・ゼラズニイとの共作である「怒りの神」などがサンリオSF文庫で出版されて以降、出版されていない。ただ、これらの作品の邦訳本を出版しても売れる作品とは言い難く、再版は期待できない。
1955 Solar Lottery 「偶然世界」(太陽クイズ 改題) ハヤカワ文庫
1956 The World Jones Made ジョーンズの世界 創元SF文庫(⇐創元推理文庫)
The Man who Japed いたずらの問題 創元SF文庫
1957 Eye in the Sky 宇宙の眼(虚空の眼) ハヤカワ文庫(⇐創元推理文庫⇐サンリオSF文庫)
The Cosmic Puppets 宇宙の操り人形 ちくま文庫(⇐朝日ソノラマ文庫)
1959 Time out of Joint (Biography in Time) 時は乱れて ハヤカワ文庫(⇐サンリオSF文庫)
1960 Dr. Futurity 未来医師 ハヤカワ文庫
Vulcan's Hammer ヴァルカンの鉄槌 創元SF文庫
1962 The Man in the High Castle 高い城の男 ハヤカワ文庫
1963 The Game-Players of Titan タイタンのゲームプレイヤー 創元推理文庫
1964 Clans of the Alphane Moon アルファ系衛星の氏族たち 創元推理文庫(⇐サンリオSF文庫)
Martian Time-Slip 火星のタイムスリップ ハヤカワ文庫
The Penultimate Truth 最後から二番目の真実 創元SF文庫(⇐サンリオSF文庫)
The Simulacra シミュラクラ ハヤカワ文庫(⇐サンリオSF文庫)
1965 Dr. Bloodmoney ドクター・ブラックマネー 
―博士の血の贖い-
創元SF文庫(⇐サンリオSF文庫)
The Three Stigmata of Palmer Eldritch パーマー・エルドリッチの三つの聖痕 ハヤカワ文庫
1966 The Crack in Space 空間亀裂 創元SF文庫
Now Wait for Last Year 去年を待ちながら 創元推理文庫
Lies,INC. (The Unteleported Man) ライズ民間警察機構
(テレポートされざる者)
創元SF文庫(⇐サンリオSF文庫)
1967 Counter-Clock World 逆まわりの世界 ハヤカワ文庫
The Zap Gun ザップ・ガン ハヤカワ文庫(⇐創元推理文庫)
Ganymede Takeover ガニメデ支配
(レイ・ネルソンとの共作)
創元SF文庫
1968 Do Androids Dream of Electric Sheep? アンドロイドは電気羊の夢を見るか? ハヤカワ文庫
1969 Galactic Pot-Healer 銀河の壷なおし ハヤカワ文庫(⇐サンリオSF文庫:銀河の壺直し)
Ubik ユービック ハヤカワ文庫
1970 A Maze of Death 死の迷路(死の迷宮) 創元推理文庫(⇐サンリオSF文庫)
Our Friend from Frolix 8 フロリクス8から来た友人 創元SF文庫
1972 We Can Build You あなたをつくります
(あなたを合成します)
創元SF文庫(⇐サンリオSF文庫)
1974 Flow my Tears, the Policeman Said 流れよわが涙、と警官は言った
(流れよ我が涙と、警官は言った)
ハヤカワ文庫(⇐サンリオSF文庫)
1976 Deus Irae 怒りの神
(ロジャー・ゼラズニイとの共作)
サンリオSF文庫
A Scanner Darkly スキャナー・ダークリー
(暗闇のスキャナー)
ハヤカワ文庫(⇐創元推理文庫⇐サンリオSF文庫)
1981 VALIS ヴァリス ハヤカワ文庫(⇐創元推理文庫⇐サンリオSF文庫)
The Devine Invasion 聖なる侵入 ハヤカワ文庫(⇐創元推理文庫⇐サンリオSF文庫)
1985 Radio Free Albemuth アルべマス ハヤカワ文庫(⇐サンリオSF文庫)
1985 Nick and the Glimmung ニックとグリマング 筑摩文庫

長編作品
1950 Voices from the Street 市に虎声あらん 平凡社
1956 The Broken Bubble 未訳
1975 Confessions of a Crap Artist 戦争が終わり、世界の終わりが始まった 昌文社
1982 The Transmigration of Timothy Archer ティモシー・アーチャーの転生 創元SF文庫(⇐サンリオSF文庫)
1984 The Man Teeth were All Exactly Alike 未訳
1985 Puttering about in a Small Land 小さな場所で大騒ぎ 昌文社
In Milton Lumky Territory 未訳
1986 Humpty Dumpty in Oakland 未訳
1987 Mary and the Giant メアリと巨人 筑摩書房

短編作品
SF長編の傑作に目が行きがちだが、短編はかなり多くの作品が発表されている。だがその出版意欲は「生活の糧とするため」で、生活苦が作品発表の原動力と言っても過言ではない。彼の短編作品に関してはほぼ邦訳版が入手出来る。外国の作家でここまで短編作品が手に入るのも珍しい。
1947 Stabilità 安定社会 1987年に「Stability」として発表
1952 Beyond Lies the Wub 輪廻の豚
ウーブ身重く横たわる
ハヤカワ文庫「地図にない町」
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
The Gun 自動砲 ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
The Skull 髑髏 現代教養文庫「ウォー・ヴェテラン」
論創社「髑髏」
The Little Movement おもちゃの戦争 ハヤカワ文庫「地図にない町」
1953 The Defenders 地球防衛軍 新潮文庫「永久戦争」
ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
Mr. Spaceship ミスター・スターシップ ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
Piper in the Woods 森の中の笛吹き ハヤカワ文庫「地図にない町」
Roog ルーグ ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
The Infinities 造物主 現代教養文庫「ウォー・ヴェテラン」
論創社「髑髏」
Second Variety 人間狩り
変種第二号
集英社「人間狩り」
ちくま文庫「人間狩り」
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
The World She Wanted 世界のすべては彼女のために 書苑新社「PKD博覧会」
Colony 植民地 集英社「人間狩り」
ちくま文庫「人間狩り」
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
The Cookie Lady クッキーおばさん ハヤカワ文庫「地図にない町」
The Eye Have It あんな目はごめんだ 新潮文庫「模造機械」
ハヤカワ文庫「変数人間」
Impostor 偽者
にせもの
集英社「人間狩り」
ちくま文庫「人間狩り」
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
Martians Come in Clouds 火星人襲来 現代教養文庫「ウォー・ヴェテラン」
論創社「髑髏」
Paycheck 報酬
ペイチェック
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「変数人間」
The Preserving Machine 名曲永久保存法 ハヤカワ文庫「地図にない町」
Expendable 消耗品
消耗員
北宋社「顔のない博物館」
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
論創社「髑髏」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
The Cosmic Poachers 不法侵入者 ハヤカワ文庫「人間以前」
The Indefatigable Frog 根気の良い蛙
不屈の蛙
北宋社「顔のない博物館」
新潮文庫「模造機械」
論創社「髑髏」
ハヤカワ文庫「変数人間」
The Commuter 地図にない町 ハヤカワ文庫「地図にない町」
ハヤカワ文庫「人間以前」
Out in the Garden レダと白鳥 ハヤカワ文庫「地図にない町」
The Great C 偉大なる神 集英社「人間狩り」
ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
The King of the Elves 小人の王
倭人の王
妖精の王
北宋社「顔のない博物館」
ハヤカワ文庫「ゴールデン・マン」
論創社「髑髏」
ハヤカワ文庫「人間以前」
The Trouble with Bubbles 世界をわが手に ハヤカワ文庫「マイノリティ・リポート」
ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
The Variable Man 変数人間 新潮文庫「永久戦争」
ハヤカワ文庫「変数人間」
The Inpossible Planet ありえざる星 ハヤカワ文庫「地図にない町」
Planet for Transients 訪問者 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
Some Kinds of Life 生活必需品 現代教養文庫「ウォー・ヴェテラン」
論創社「髑髏」
The Builder あてのない船 ハヤカワ文庫「地図にない町」
The Hanging Stranger ハンギング・ストレンジャー
吊るされたよそ者
北宋社「顔のない博物館」
ちくま文庫「人間狩り」
論創社「人間狩り」
ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
Project; Earth 地球乗っ取り計画 ちくま文庫「宇宙の操り人形」
Tony and the Beetles トニーとかぶと虫 現代教養文庫「ウォー・ヴェテラン」
論創社「髑髏」
1954 Beyond the Door ドアの向こうで 北宋社「顔のない博物館」
ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
The Crystal Crypt 火星潜入 ハヤカワ文庫「マイノリティ・リポート」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
A Present for Pat パットへの贈り物 集英社「人間狩り」
ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
Prize Ship 戦利船 ハヤカワ文庫「変種第二号」
The Short Happy Life of the Brown Oxford 万物賦活法 ハヤカワ文庫「地図にない町」
The Golden Man ゴールデン・マン 集英社「人間狩り」
ちくま文庫「人間狩り」
ハヤカワ文庫「ゴールデン・マン」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
Jon's World ジョンの世界 新潮文庫「永久戦争」
ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
James P. Crow ジェイムス・P・クロウ ハヤカワ文庫「マイノリティ・リポート」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
Small Town 小さな町 ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
ハヤカワ文庫「ペイチェック」
Survey Team 火星探査班 集英社「人間狩り」
ちくま文庫「人間狩り」
Prominent Author 有名作家 ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
Sales Pitch CM地獄 ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
ハヤカワ文庫「変数人間」
Time Pawn Dr.Futurityの原形 未訳
The Turning Wheel 輪廻の車 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
Breakfast at Twilight 薄明の朝食
たそがれの朝食
ハヤカワ文庫「地図にない町」
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
The Crawlers 爬行動物 ちくま文庫「人間狩り」
論創社「人間狩り」
Of Withered Apples 萎びたリンゴ 北宋社「顔のない博物館」
ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
The Exhibit Piece 廃品博物館
展示品
北宋社「顔のない博物館」
ちくま文庫「人間狩り」
論創社「人間狩り」
Adjustment Team 調整班
アジャストメント
新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
Shell Game スパイはだれだ 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「変数人間」
Meddler 干渉者
干渉する者
おせっかいやき
北宋社「顔のない博物館」
ちくま文庫「人間狩り」
ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
論創社「人間狩り」
Souvenir スーヴェニール ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
A World of Talent 超能力世界 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「変数人間」
The Last of the Master 最後の支配者 ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
Progeny 新世代 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「人間以前」
Upon the Dull Earth この卑しい地上に 新潮文庫「模造記憶」
ハヤカワ文庫「人間以前」
The Father-thing パパそっくり
父さんに似たもの
父さんもどき
北宋社「顔のない博物館」
ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
ちくま文庫「人間狩り」
ハヤカワ文庫「ペイチェック」
論創社「人間狩り」
ハヤカワ文庫「人間以前」
Strange Eden 奇妙なエデン ちくま文庫「宇宙の操り人形」
論創社「髑髏」
1955 Foster, You're Dead! フォスター、おまえ、死んでるところだぞ
フォスター、おまえは死んでるぞ
北宋社「顔のない博物館」
ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「人間以前」
Human Is 人間らしさ ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
War Veteran ウォーヴェテラン
歴戦の勇士
現代教養文庫「ウォー・ヴェテラン」
新潮文庫「永久戦争」
論創社「髑髏」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
Captive Market 囚われのマーケット 新潮文庫「模造記憶」
Nanny ナニー ちくま文庫「人間狩り
ハヤカワ文庫「ペイチェック」
論創社「人間狩り」
ハヤカワ文庫「人間以前」
The Hood Maker フードメーカー ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
The Chromium Fence 傍観者 新潮文庫「永久戦争」
ハヤカワ文庫「ペイチェック」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
Service Call サーヴィス・コール
アフター・サーヴィス
サーヴィス訪問
集英社「人間狩り」
ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
ちくま文庫「人間狩り」
論創社「人間狩り」
A Surface Raid 地底からの侵略 ちくま文庫「宇宙の操り人形」
The Mold of Yancy ヤンシーにならえ ハヤカワ文庫「ゴールデン・マン」
Autofac 自動工場 ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
ハヤカワ文庫「ペイチェック
Psi-man Heal My Child! 超能力者 ハヤカワ文庫「地図にない町」
1956 The Minority Report 少数報告
マイノリティ・リポート
新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「マイノリティ・リポート」
ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
To Serve the Master 奉仕するもの 新潮文庫「永久戦争」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
Valucan's Hammer Valucan's Hammerの原形 未訳
Pay for the Printer くずれてしまえ 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
A Glass of Darkness The Cosmic Puppetsの原形 未訳
1957 The Unreconstructed M 融通のきかない機械 ハヤカワ文庫「ゴールデン・マン」
Misadjustment 不適応者 ハヤカワ文庫「フィリップ・K・ディック・リポート」
ハヤカワ文庫「変数人間」
1958 Null-o 非0 ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
1959 Explorers We 探検隊はおれたちだ ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
Recall Mechanism 想起装置 新潮文庫「模造記憶」
Fair Game よいカモ 北宋社「顔のない博物館」
ちくま文庫「人間狩り」
論創社「人間狩り」
War Game ウォー・ゲーム ちくま文庫「ウォー・ゲーム」
1963 All We Marsmen Martian Time-Slipの原形 未訳
Stand-by 待機員 ハヤカワ文庫「シビュラの目」
ハヤカワ文庫「ペイチェック」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
What'll We Do With Ragland Park? ラグランド・パークをどうする? ハヤカワ文庫「シビュラの目」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
The Days of Perky Pat パーキー・パットの日々 ハヤカワ文庫「パーキー・パットの日々」
ハヤカワ文庫「ペイチェック」
ハヤカワ文庫「変数人間」
If There Were No Benny Cemoli ペニー・セモリがいなかったら ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
1964 Waterspider 水蜘蛛計画 ハヤカワ文庫「マイノリティ・リポート」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
Novelty Act The Simulacraの原形 未訳
Oh, to be a Blobel! おお! ブローベルとなりて ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
The War with the Fnools フヌールとの戦い ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
What the Dead Men Say 宇宙の死者 ハヤカワ文庫「シビュラの目」
ハヤカワ文庫「人間以前」
Cantata 140 カンタータ百四十番 ハヤカワ文庫「シビュラの目」
A Game of Unchance 運のないゲーム ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
The Little Black Box 小さな黒い箱 ハヤカワ文庫「ゴールデン・マン」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
Precious Artifact プロクスからの侵略
かけがえのない人造物
集英社「人間狩り」
ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
The Unteleported Man Lies,INC.に拡張。
ライズ民間警察機構として完成
未訳
Orpheus with Clay Feet ぶざまなオルフェウス 新潮文庫「模造記憶」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
A Terran Odyssey 未訳
1965 Retreat Syndrome 逃避シンドローム 新潮文庫「模造記憶」
Project Plowshare The Zap Gunとして完成 未訳
1966 We Can Remember It For You Wholesale 追憶売ります
トータル・リコール
新潮文庫「模造記憶」
ハヤカワ文庫「マイノリティ・リポート」
ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
Holy Quarrel 聖なる争い ハヤカワ文庫「シビュラの目」
Your Appointment Will Be Yesterday 逆まわりの世界 新潮文庫「模造記憶」
1967 Return Match リターン・マッチ ハヤカワ文庫「ゴールデン・マン」
Faith of our Fathers 父祖の信仰 ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
1968 Not By Its Cover ふとした表紙に ハヤカワ文庫「ゴールデン・マン」
The Story To End All Stories ハヤカワ文庫「人間以前」のあとがきで紹介 ハヤカワ文庫「人間以前」
1969 The Electric Ant 電気蟻 ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
A. Lincoln, Simulacrum We Can Build Youの原形 未訳
1974 The Pre-persons まだ人間じゃない
人間以前
ハヤカワ文庫「まだ人間じゃない」
ハヤカワ文庫「人間以前」
A Little Something For Us Tempunauts 時間飛行士へのささやかな贈物 ハヤカワ文庫「時間飛行士へのささやかな贈物」
ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
1979 The Exit Door Leads In 出口はどこかへの入口 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「トータル・リコール」
1980 Chains of Air, Web of Aethyr 聖なる侵入に流用 未訳
Rautavaara's Case ラウタヴァータ事件 ハヤカワ文庫「小さな黒い箱」
Frozen Journey 凍った旅 新潮文庫「悪夢機械」
ハヤカワ文庫「アジャストメント」
1981 The Alien Mind 猫と宇宙船 ハヤカワ文庫「変数人間」
1984 Strange Memories Of Death 不思議な死の記憶 新潮文庫「模造記憶」
1987 The Eye of The Sibyl シビュラの目 ハヤカワ文庫「シビュラの目」
ハヤカワ文庫「人間以前」
Stability 安定社会 ハヤカワ文庫「マイノリティ・リポート」
ハヤカワ文庫「変種第二号」
A Terran Odyssey ドクターブラッドマネーに流用 未訳
Cadbury, the Beaver Who Lacked 欠陥ビーバー 新潮文庫「模造記憶」
ハヤカワ文庫「人間以前」
The Day Mr. Computer Fell Out of Its Tree ミスター・コンピューターが木から落ちた日 新潮文庫「模造記憶」
Fawn, Look Back 未訳
1988 Goodbye, Vincent さよなら、ヴィンセント ハヤカワ文庫「アジャストメント」
1989 11-17-80 未訳
2010 Menace React 未訳
アメリカンコミックス
BOOM! Studiosから『Do Androids Dream of Electric Sheep?』が2009年6月より全24巻が出版された。 またサイドストーリーとして『Do Androids Dream of Electric Sheep?;Dust to Dust』が2010年5月より全8巻で並行して出版されている。
Do Androids Dream of Electric Sheep?
Jun 2009-#01 Jul 2009-#02 Aug 2009-#03
Sep 2009-#04 Out 2009-#05 Nov 2009-#06
Dec 2009-#07 Jan 2010-#08 Feb 2010-#09
Mar 2010-#10 Apl 2010-#11 May 2010-#12
Jun 2010-#13 Jul 2010-#14 Aug 2010-#15
Sep 2010-#16 Oct 2010-#17 Nov 2010-#18
Dec 2010-#19 Jan 2011-#20 Feb 2011-#21
Mar 2011-#22 Apl 2011-#23 May 2011-#24
Do Androids Dream of Electric Sheep?;DUST TO DUST
May 2010-#01 Jun 2010-#02 Jul 2010-#03
Aug 2010-#04 Sep 2010-#05 Oct 2010-#06
Nov 2011-#07 Dec 2011-#08
参考文献*1
1981年、原作者フィリップ・K・ディックが、『ブレードランナー』の製作者、ラッド・カンパニーのジェフ・ウォーカーに宛てた書簡。

親愛なるジェフ、

今晩たまたま、チャンネル7で"Hooray For Hollywood"を見たよ。『ブレードランナー』の映像も出てきた(正直に言えば「たまたま」じゃなくて、知り合いが『ブレードランナー』も取り上げられるから見ろよ」って教えてくれたんだけど)。ジェフ、見終わって、特にハリソン・フォードが映画について語るのを聴き終わって、僕はこの結論に至った。これはSFじゃない。これはファンタジーじゃない。まさしくハリソン・フォードが言ったように「未来観」なんだ。『ブレードランナー』の衝撃はあらゆる分野に行き渡るだろう。一般の人にもモノを創り出す人々にも。そして、僕は信じるんだが、特にSFの分野に生きてる人にもね。30年間、SFを書いてそれを売ってきた僕にとっては、これは何かしら大切なことなんだ。本当に正直に言わなくちゃいけないけど、ここ数年、我々のジャンルは徐々に、そして着実に劣化してきている。個々人としても、集団としても、『ブレードランナー』に匹敵するような何かを成せていない。現実逃避的ではなく、勇気ある、細部まで行き届いた、本物の、憎らしいくらい説得力のあるスーパー・リアリズムだ。TVのあの部分を見ていて、僕は最近の自分が持ってた「リアリティ」が色あせて見えるのを感じた。僕が言ってるのは、君がまとめあげたこの作品は、これまでこの世にはなかった、オリジナルな新しいヴィジュアルの形、芸術的な表現を生み出したということなんだ。そして僕は思う。『ブレードランナー』は僕たちの概念に革命を起こすだろうと。SFとはどういうものであるか、いやそれ以上に、どういうものたり得るか、という概念に。

こんな風にまとめさせてもらうよ。SFは緩やかに、そして避けがたく、モノトーンの死に向かっていた。お互いをパクったような古くさいものばかりになっていた。突然、君たちのような人がやってきた。今我々と共にある、最高に才能ある人たちが。そして、今、僕たちは新しい人生、新しいスタートを手に入れたんだ。『ブレードランナー』プロジェクトにおける僕の役割について言えることといえば、僕の原作や僕のアイデアがあれほどの素晴らしい次元にまで昇華するなんて思ってもいなかった、ということだ。僕の人生と創造的な仕事は『ブレードランナー』によって正当化され、完成した。ありがとう……そしてこれはとんでもない商業的成功を収めるだろう。無敵であることを証明するだろう。

心から、

フィリップ・K・ディック

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