はじめに

SF界の巨匠 フィリップ・キンドレッド・ディックについて語るのは甚だおこがましいことと自覚しつつも、彼の全作品の紹介を記載するサイトは熱狂的な愛読者によるものが多い。以前にはサンリオSF文庫より多数の作品が出版されるも同文庫の廃刊後は、創元推理文庫(創元SF文庫)、ハヤカワ文庫、ちくま文庫など作品の出版社が分かれている。Philip K. Dick Estate公認の〈PKD〉ブランド・オフィシャル・サイトが存在するが、ハヤカワ文庫より出版された作品の紹介のみとなっている。
但し、現在に至るまでさまざまな訳者にて邦訳されてきたディックの作品において、「訳者あとがき」という形で紹介の場を得て、ディック生涯の作品を年表形式に記載してあるものがあり、中にはディック作品とは切っても切れないエース・ブックスの1950年代の出版リストを掲載しているものもある。
ディックの作品について紹介するには短編作品から作家としてスタートした経緯を踏まえるとまずは1951年11月において商業誌に初めて売れた「ルーグ(侵入者)」か、実際に出版されるのが早かった1952年6月の「輪廻の豚(彼処にウーブ横たわりて)」から始めるものが筋かとは思うが、短編作については多数の邦訳短編集が出版されているので、このページでは長編を紹介していきたいと思う。
アメコミのサイトのなかで「何故、フィリップ・K・ディックの紹介をするのか?」と言えば、自分がフィリップ・K・ディックの愛読者であるのと同時に、BOOM! Studiosより「DO ANDROIDS DREAM OF ELECTRIC SHEEP?」がアメコミとして2009年から2011年にかけて全24巻で発売されたことも理由の一つである。
なお、掲載の順番については出版された年月を基準とするため、邦訳年度が前後する。

SF長編作品
SOLAR LOTTERY(1955)
偶然世界
フィリップ・K・ディック/小尾芙佐訳
ハヤカワ文庫 1977/5/31初版
所有:1990/6/30七版
2203年、執政庁の最高権力者、クイズマスターであるリース・ベリックが第一級位から最下位へと転落した。 しかし、彼に失策があったわけではない。
ボトルと呼ばれる「権力転位装置」が無作為的に選択した結果であった。
代わってプレストン会に所属する63歳のレオン・カートライトがマスターに選ばれる。ボトルによる抽選で彼が60億の人々の中から選ばれたのである。だが無級者にとっては、この幸運は同時に凶運でもあった。マスターは次々と襲いかかる刺客と戦わなければならない。いくら、刺客の攻撃を掻い潜っていても、平均で二週間を生き延びるのが精一杯であった。
またリース・ベリックも最下位の位置に甘んずることなく、再起を描けてカートライトへと刺客を送り込む。
マスターと選ばれた者にも味方がいる。マスターを守るテレパス機関と刺客との闘いが始まった。アンドロイドは多数の人間の意識をランダムに映し出しており、テレパス機関は苦戦する。
カートライトは月へ脱出するが、アンドロイドも諦めることなく月まで追いかけていく・・・・・・

偶然世界(「太陽クイズ」改題)は1955年にエース・ブックスから出版されたフィリップ・K・ディックの処女長編作品である。(D-103) 邦訳については最初は原題の直訳である「太陽クイズ」でハヤカワSFシリーズで出版されたが、1977年にハヤカワ文庫で発売する際に「偶然世界」と改題された。ディックの邦訳作品ではこういったケースがいくつか存在する。


The World Jone made(1956)(Womb for Another)
ジョーンズの世界
フィリップ・K・ディック/白石 郎 訳
創元推理文庫 1990/11/9初版
所有:1991/1/25再版
1995年、連邦世界政府の保安警察官ダグ・カシックはカーニヴァルで奇妙な占い師に出会う。
個人の占いお断り。人類の未来だけを占うという。この男がフロイド・ジョーンズだった。
一年先の未来までを完璧に予知できる超能力者を世界政府は監視下に置いた。ちょうどその時、太陽系には「漂流者」と呼ばれる謎の物体が飛来していた。ジョーンズは愛国者連盟を結成して、七年後には連盟の勢力は政府を脅かす組織にまで発展する。
「漂流者」の驚くべき正体が明らかになるなかで、ジョーンズは自らの死を予知し、最後の闘いへ連盟を導いていく・・・・・・


1956年にエース・ブックスから出版された名編。(D-150)邦訳本としては創元推理文庫からの出版で長らく販売されていなかったが、2014年に創元SF文庫より復刊。

The Man Who Japed(1956)
いたずらの問題
フィリップ・K・ディック/大森 望 訳
創元SF文庫 1992/10/16初版
所有:同
2114年、ストレイター大佐による高度な道徳的再生運動の結果、米国は小型ロボットによって常に監視され、近隣同志の相互監視体制までもが行き届いた。
調査代理店の青年社長アレン・パーセルは、ある夜、自分自身にも理解できない衝動にかられるなか、ストレイター大佐の銅像の頭を切り取り、その頭をまさに蹴ろうとしている姿にするという「いたずら」を犯してしまう。やがてアレンは一人の少女と出会う。黒髪が印象的な少女グレッチェンとの出会いをきっかけにアレンは管理社会から落伍していく。アレンは精神病医の治療により、宇宙のリゾートに連れ去られてしまうが、何とか地球へと帰還を果たす。しかし罠にかけられ、彼が犯した行為を告発される。1つの「いたずら」から全てを失ったアレンが最後にしかけた「いたずら」とは・・・・・・
1956年にエース・ブックスから出版された作品。(D-193)原題を直訳すると「いたずらをした男」であり、これもありかと思うが「いたずらの問題」という邦題が付けられた。ディック作品では数多くみられるケース。

Eye in the Sky(1957)
虚空の眼
フィリップ・K・ディック/大瀧啓裕 訳
創元推理文庫 1991/6/28初版
所有:同
1959年、カリフォルニア州に建造された巨大な陽子ビーム偏向装置が突如暴走事故を起こし、そばで見学をしていた八人の男女がまきぞえとなり、失神してしまう。その一人、ジャック・ハミルトンはほどなく病院で意識を取り戻すが、そこは彼が知っている現実とは異なった世界であった。「第二バーブ教」という奇怪な宗教に支配されている世界だったのだ。信仰を深めることによって怪我が治り、また不信心の言葉を発した者の元へはイナゴの大群が押し寄せる。天使や天国までもが存在するこの世界は、退役軍人アーサー・シルヴェスターの頭の中にしか存在しないものであった。かろうじて脱出に成功したハミルトン達は、また違う世界にいることに気付く。それはプリチェット夫人の世界だった。次々と登場する世界のなかで、ハミルトン達はいつ元の世界に戻ることができるのだろうか・・・・・・
1957年にエース・ブックスから出版された作品。(D-211) 最初にサンリオSF文庫にて刊行され、創元推理文庫で刊行される際も「虚空の眼」であったが、ハヤカワ文庫にて刊行される際に「宇宙の眼」と改題されている。

The Cosmic Puppets(1957)
宇宙の操り人形
フィリップ・K・ディック/仁賀 克雄 訳
ちくま文庫 1992/1/22初版
所有:同
1953年、テッド・バートンは妻と一緒に旅行の途中、故郷であるミルゲイトへ18年振りに立ち寄ってみると、そこは自分の記憶とは全く違っていた。街並も住民も見覚えのない見知らぬ街に立ち並び、通りの名前も違っていた。しかも昔の新聞を調べると自分の両親の名前まで違っており、9歳の時に死んだことになっていた。バ地元に戻ってからも調査を続けていたバートンはピーターという名の少年と知り合い、驚きの事実を告げられる。本当のミルゲイトにはバリアが消えた時だけに入ることが出来るという。今いる自分は一体何者なのだ? 物語は大きく展開し、光の神と闇の神の対決について語られていく。

1957年にエース・ブックスから出版された。(D-249)
邦訳本としては朝日ソノラマ文庫にて1984年に短編の「地球乗っ取り計画」も同時所収されて出版。
訳者はちくま文庫版と同じく仁賀克雄氏。
ちくま文庫版では同作品とともに下記の短編三作が掲載されている。
・「地球乗っ取り計画」-Project; EARTH(1953)
・「地底からの侵略『機械仕掛けの神』」-A Surface Raid(1955)
・「奇妙なエデン」-Strange Eden(1954)

Time Out of Joint(1959)
時は乱れて
フィリップ・K・ディック/山田 和子 訳
サンリオSF文庫 1978/7/25初版
所有:同
1959年、46歳のレイグル・ガムは弟夫婦と暮らしていた。独身でアメリカの田舎町に住むこの男のことを知らぬものはいない。何故なら新聞の懸賞クイズ『小さな緑の男は次にどこへ行くか?』で毎日勝ち続けているからだ。平凡で退屈な毎日を過ごすレイガムだが、自分がなじみのない他人に思えることがある。そして弟夫婦もそれを感じていた。何気ないことではあるが、洗面所にあると思ったスイッチがないという弟の体験、子供が近くの廃墟から拾ってきた雑誌の記事、鉱石ラジオから傍受した奇妙な通信。自分がいる世界とは違う別の世界があるのでないか?不信感にさいなまれたレイグルは町を出ようとするが、何故か警察に追われ、一軒の家に辿り着く。そこで見た新聞の日付は1997年5月10日。レイグルが解き続けるクイズに隠れた秘密があることを知ることとなる。・・・・・・


1959年にJ.B.Lippincott Companyから出版された。
サンリオSF文庫の廃刊後、長らく入手困難になっていたが、2014年にハヤカワ文庫より復刊された。
訳者はサンリオSF文庫と同じく山田和子氏。

Dr.Futurity (1960)
未来医師
フィリップ・K・ディック/佐藤龍雄 訳
創元SF文庫 2010/5/28初版
所有:同
21世紀に暮らすジム・パーソンズは有能な医師であり、その日も仕事に向かう途中だった。しかし今、見知らぬ場所に立っている。彼が辿り着いた街では少年や少女ばかり暮らしており、自分ほどの年齢の人々が全くいないことに気づく。彼はいつの間にか25世紀の北米に時間移行していることを知る。この時代では人種間の混交が進んでおり、それぞれ部族に分かれて生活していた。平均寿命が15歳で、医療が禁止されていた。パーソンズは医師であることによって追われる身となるが、ある部族に救われる。実はその部族がパーソンズをこの時代へと呼び寄せたのである。彼らの部族はある男の死を止めるために医師を必要であったのだ。パーソンズはその男の治療を行うことを受け持つこととなったが、その過程で幾度も時間渡航を行い、やがて自分が重要な役割を果たすこととなる・・・・・・

1960年にエース・ブックスから出版された作品。長く未訳でいて、発売が待望されていた一冊。

Vulcan's Hammer (1960)
ヴァルカンの鉄槌
フィリップ・K・ディック/佐藤龍雄 訳
創元SF文庫 2015/5/29初版
所有:同
20年以上も続いた第一次核戦争は1992年に終わりを告げ、世界連盟のもとで新しい秩序が構築されていた。超高性能の巨大コンピューター「ヴァルカン三号」によってすべての政策決定が行われていた。「ヴァルカン三号」の設置場所は極秘になっており、近づけるのは連邦統括弁務官であるジェーソン・ディル一人とされていた。但し「ヴァルカン三号」によって構築された社会は平和であることとともに人間性を疎外された世界であった。そのため、こうした統制に異を唱えるフィールド大佐が率いる「癒しの道」教団が政府に反旗を翻した。事態を収拾しようとするディルが行動を起こすなか、北部アメリカ担当弁務官であるウィリアム・パリスは「ヴァルカン・シリーズ」が秘密裏に進めていた陰謀を知ることとなる・・・・・・

1960年にエース・ブックスから出版された作品。長く未訳でいて、発売が待望されていた一冊。

The Man in the High Castle (1962)
高い城の男
フィリップ・K・ディック/朝倉久志 訳
ハヤカワ文庫 1984/7/31初版
所有:1990/12/31 十二版
1947年、第二次世界大戦はドイツと日本の勝利に終わった。終戦後15年が経ったアメリカは東西に分割され、東側はドイツ、西側は日本が統治している。特に西側では日本が持ち込んだ中国の古い書物「易経」が広く普及しており、人々の行動指針として用いられていた。
サンフランシスコにて、アメリカ美術工芸品商会を経営しているロバート・チルダンは、顧客の一人、日本通商団の田上信輔を相手に商品を説明していた。田上は今度の交渉相手であるパイネス氏について「易経」によって占ってみるが、「パイネス氏がスパイではないか?」という懸念を持つ。一方、チルダンは扱っていた南北戦争当時の拳銃が偽物であることをフランク・フリンクによって知らされる。偽物を作る工場をクビになったフリンクがオリジナルの装身具を売り込むために真相をチルダンに知らせたのだ。ドイツ帝国の首相ボルマンの突然の死によってドイツに混乱が訪れるが、そのなかでようやくパイネス氏との会談をすることが出来た田上は驚くべき事実を知らされる・・・・・・


1962年にパトナム社(Putnam)にて出版された。ハヤカワSFシリーズより1965年2月に川口正吉 訳にて販売された。以後、1984年にハヤカワ文庫より復刊された。1963年度のヒューゴー賞 長編小説部門に受賞した。

The Game-Players of Titan (1963)
タイタンのゲーム・プレーヤー
フィリップ・K・ディック/大森 望 訳
創元SF文庫 1990/3/2初版
所有:1991/5/10 三版
地球人類は星間戦争に敗れ、ヴァグと呼ばれるタイタン生物に統治されていた。人口の激減したなか一握りの特権階級だけが、ヴァグがもたらしたゲームが流行していた。賭けの対象になるのは現実の町、自分が所有している土地である。土地の所有者はバインドマン、そこに住む領民はノンBと呼ばれていた。だがその階級差はゲームに勝つことで入れ替わることもある。ゲーム・プレーヤーの一人、西海岸に住むピート・ガーデンは、ニューヨークに住む大物プレーヤーのラックマンに奪われた領地バークレーをとり戻すべく再戦しようとしていたが、翌日、ラックマンは死体となって発見された。しかもピートら六人の仲間はちょうどその一日の記憶を失っている。誰が敵か味方かもわからない、長い悪夢の始まりだった・・・・・・

1962年にエース・ブックスから出版された作品。

Martian Time-Slip (1964)
火星のタイム・スリップ
フィリップ・K・ディック/小尾 芙佐 訳
ハヤカワ文庫 1980/6/30初版
所有:1990/7/31 五版
1994年、地球から火星に移民していった人々にとっては絶えず水不足に悩む不毛の地において、国連から支給されるわずかな水が頼りであった。イー・カンパニーで修理員をしていたジャック・ボーマンは、水利労組組合長アーニー・コットに出会い、彼に雇わることとなる。アーニー・コットは貴重な水を思うがままに使えるほどの権力者だった。国連が再開発のために土地を買い付けようとする情報を得たアーニーはある策略を図る。精神分裂症患者が我々と違う時間感覚を持っているという学説に興味を持ったアーニーは、分裂症の少年マンフレッド・スタイナーに土地の未来の姿を予知させようとしたのだ。だがF.D.ルーズベルト山一帯の情報は他にも流れており、ジャックの父 レオ・ボーマンに先に買い取られてしまった。悔やむアーニーは少年の能力を使って過去へのタイム・スリップを試みるが、辿り着いた場所は予想だにしなかった世界だった・・・・・・

1964年にバランタイン・ブックス(Ballantine)から出版された作品。ハヤカワSFシリーズより1966年4月に小尾芙佐 訳にて販売された。以後、1980年にハヤカワ文庫より復刊された。

The Simulacra (1964)
シミュラクラ
フィリップ・K・ディック/汀 一弘 訳
サンリオSF文庫 1986/5/15初版
所有:同
二十一世紀半ば、第三次世界大戦後の世界はワルシャワを中心とする共産主義体制と、米欧合衆国(USEA)とに分裂し、完全に二極化していた。USEAの大統領(デル・アルテ)は四年に一度選ばれているが、実権は若く美しいファースト・レディ、ニコル・チボドウに握られていた。国民は特権階級であるGeと平民を意味するBeに選別されており、芸達者な者がニコルを満足させることで昇進できるようになっていた。シミュラクラ製造工場に勤めるチック・ストライトロックは業績を上げることが出来ず解雇されそうになるが、政府の役人より新しい仕事について依頼がきた。実は大統領デル・アルデを務めてきたのは全てシミュラクラであり、新しいシミュラクラを作るように話を持ちかけられたのだ。一方、ニコルは時間移行機によってナチスのゲーリングを過去から連れてくることに躍起になっていた。また彼女はマクファーソン法を施行して精神分析医の職をはく奪しようとしていた・・・・・・

1964年にエース・ブックスから出版された作品。1986年にサンリオSF文庫より出版された。それ以降、再版がされていない。

The Penultimate Truth (1964)
最後から二番目の真実
フィリップ・K・ディック/佐藤龍雄 訳
創元SF文庫 2007/5/25初版
所有:同
2025年、地上では西部民主主圏と太平洋人民圏との核による戦争が続いているために、人々は地下塔に逃れ十年以上が経過していた。地下塔トム・ミックスの塔長であるニコラス・ジェームスの元には地上の戦争に投入される戦闘ロボットの生産の新しいノルマが届いていた。過酷な生活のなかで暮らしていくのが精一杯であったが、大スクリーンに映し出される戦争の様子、そして指導者タルボット・ヤンシーの演説を見せられた人々は新たなノルマを受けざるを得なかった。しかし地上の戦争は本当は既に終結していた。指導者は実はシミュラクラであり、地上に住む少数のエリート・ヤンスマンが新たな演説の原稿作りに躍起になっていた。一方、地下塔トム・ミックスでは人々の心の支えとなっていた主任技術員モーリー・スーザが息を引き取った。すぐに冷凍保存をされた彼を救うには特権階級のみが使用することを許されていた人口臓器が必要であった。ニコラスは地上に行って人口臓器を手に入れることを決意する・・・・・・

1964年にベルモント・ブックス(Belmont)から出版された作品。1984年にサンリオSF文庫より山崎義大 訳が出版された。2007年5月、創元SF文庫より佐藤龍雄 訳にて再出版。

Clan of the Alphane Moon (1964)
アルファ系衛星の氏族たち
フィリップ・K・ディック/友枝康子 訳
創元SF文庫 1992/11/27初版
所有:同
二十一世紀中ごろ、地球とアルファ星系との戦争は既に終結していたが、アルファⅢM2には地球人の精神疾患者が多く収容されていた。地球との連絡が途絶えていたため、人々は自分達の精神疾患ごとに七つの氏族に分かれて独自の文化を形成していた。地球においてもこの衛星に取り残された人々の現状を知らずにいたが、彼らの調査・治療プロジェクトが計画されていた。CIAの職員であるチャック・リッタースドーフは別れた妻、メアリーや他の職員たちと一緒にプロジェクトに参加していた。メアリーは心理学者として参加していたが、チャックはCIAが秘密裏に参加させたシミュラクラのプログラマーという任務を受けていた。高圧的な態度のメアリーに霹靂していたチャックはシミュラクラを利用して妻の殺害を目論む・・・・・・

1964年にエース・ブックスから出版された作品。1986年12月にサンリオSF文庫より友枝康子 訳が出版された。1992年11月、創元SF文庫より同じく友枝康子 訳にて復刊された。

The Three Stigmata of Palmer Eldritch (1964)
パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
フィリップ・K・ディック/朝倉久志 訳
ハヤカワ文庫 1984/12/25初版
所有:1990/12/31 三版
二十一世紀初め、地球滅亡の危機に多くの人々が火星や金星などに強制植民をしており、過酷な環境下での生活を送っていた。そんななか、人々はキャンDという非合法ドラッグの服用による幻覚に入り浸り、パーキー・パット人形の模型セットに入れ込んでいた。その頃、冥王星にプロクシマ星系からパーマー・エルドリッチの宇宙船が帰還する。パーキー・パット人形の製造会社の社長レオ・ビュレロはエルドリッチが新しいドラッグとともにコニ―・コンパニオン人形を販売することを知る。その後、レオは月でエルドリッチの手の者によって拘束され、新ドラッグによる幻覚に苦しめられる。脱出できたレオは部下で予知能力者のバーニィー・メイスヤンが助けに来なかったことに腹を立て、バーニィーを解雇する。職を失ったバーニィーは火星への植民団に加わり、植民地にて他の人々と一緒に新ドラッグを服用する。ドラッグに浸り、現実は蝕まれていく。バーニィーらに未来はあるのか。またエルドリッチとは一体何者であるのか・・・・・・

1964年にダブルデイから出版された作品。1978年2月に早川海外SFノヴェルズより朝倉久志 訳が出版された。1984年12月、ハヤカワ文庫より同じく朝倉久志 訳にて復刊された。

Dr. Bloodmoney (1965)
ドクター・ブラッドマネー ~博士の血の贖い~
フィリップ・K・ディック/佐藤龍雄 訳
創元SF文庫 2005/1/21初版
所有:同
1972年に行われたブルトゲルド博士による核実験の結果、世界には核の灰が降り注いでおり、産まれてくる子供達は多くが奇形児であった。時は流れ1981年、デンジャーフィールド夫妻は植民地である火星に向かうロケットに搭乗していたが、発射後にアメリカ全土が核戦争に見舞われる。七年の時が過ぎ、地球上空に取り残されていたロケットのなかでデンジャーフィールドはDJとして地上に放送を流しており、人々の心のよりどころとなっていた。奇形児として生まれたホッピィは、核実験を行ったブルトゲルト博士に恨みを持ち、遂に博士の殺害を犯す。双子の弟を体内に宿したまま産まれた少女エディはホッピィとの対決することとなる・・・・・・

1965年にエース・ブックスから出版された作品。1987年5月にサンリオSF文庫より阿部重夫・阿部啓子 訳にて「ブラッドマネー博士」として出版された。2005年1月、創元SF文庫より佐藤龍雄 訳が再出版。

The Crack in Space (1966)
空間亀裂
フィリップ・K・ディック/佐藤龍雄 訳
創元SF文庫 2013/2/28 初版
所有:同
2080年、世界は人口が爆発的に増加していた。出生率を下げるために避妊薬を無料となっており、売春も公的に認められていた。地球上空には<きんのとびら>娼館衛星があり、人々の憩いの場所となっていた。また、1993年を境に有色人と白人の人口比率は逆転し、世の中の優位性は有色人種へと移っていたため、史上初の黒人大統領候補が誕生した。ジェームス・ブリスキンは初の黒人大統領となるべく、選挙戦を優位に進めるために決め手となる政策を模索していた。人口の飽和の打開策として人工冬眠が行われており、「凍民」と呼ばれる人々が何千万人、連邦特別福祉局の倉庫にて眠りについていた。それについても有色人が優先されており、世の中の不満が募るばかりであった。凍民を新たな労働人口とするべく、ブリスキンは既に見捨てられていた惑星殖民計画を再開することを宣言するが、確固たる理由があったわけではなかった。そんなブリスキンの元に極秘の情報を持ち寄る者が現れた。彼によると時間理論を応用してつくられた超高速移動機の内部に亀裂が発見され、そこからは別の時間、別の世界が覗き見られるという。それはブリスキンが掲げる「新天地」となりうるものではないのか・・・・・・

1966年にエース・ブックスから出版された作品。2013年2月、創元SF文庫より佐藤龍雄 訳が出版された。

Now Wait for Last Year (1966)
去年を待ちながら
フィリップ・K・ディック/寺地五一・高木直二 訳
創元SF文庫 1989/4/21 初版
所有:1991/5/10 五版
2055年、地球は星間戦争のさなかにある。蟻のような外見を持つリーグ星人と交戦中であり、地球人の祖先であり、同じ外見を持つリリスター星人と軍事同盟を結んでいた。しかしリリスター星人はあわよくば地球を支配下に置こうと虎視眈々と狙っていた。難しい戦局のなかで、国連事務総長ジーノ・モリナーリが交渉の場に立ち、地球の未来は彼の手腕にかかっていた。そして映像を通じて熱弁をふるい、人々を鼓舞していた。ある日、地球の大企業であるTF&D社に働く人口臓器移植医のエリック・スイートセントはモリナーリからの要請を受けて彼の主治医となり、モリナーリが隠している真実を知ることとなる。一方、エリックの妻キャシーはドラッグJJ180に手を出し、中毒者となっていた。そして不仲である夫 エリックを道連れにしようとしていた。妻の画策によりドラッグJJ180を服用してしまったエリックは、時間と空間を飛び越えて、一年後の自分と出会う・・・・・・

1966年にダブルデイから出版された作品。日本では1989年4月に出版された創元SF文庫版のみとなっている。

Lies, Inc. (1984)
ライズ民間警察機構
フィリップ・K・ディック/森下弓子 訳
創元SF文庫 1998/1/30 初版
所有:同
2014年、テレポート装置によって短時間で他の惑星へと行けるようになっていた。ただ今のところ、居住可能な惑星はフォマルハウト第九惑星<鯨の口>であった。ラクマエル・ベン・アップルボームは惑星間の輸送業者だが、テレポートの普及によって倒産寸前であった。ただ、テレポートも万能ではなく片道通行しかできず、戻ってきたものがいなかった。「既に四千万人の移民者がいるなかには戻ってきたいと思っている人がいるはず」 ラクマエルは超光速船に乗って、往復三十六年の旅に出ようとしていた。そんな彼の試みに対して妨害工作が仕向けられる。だがラクマエルは民間の巨大組織・民間警察機構ライズ社の支援を受けていた。やがて事態は思わぬ展開になっていった・・・・・・

1966年にエースブックスより"The Unteleported Man"として出版されたが、1983年にバークリィ(Berkley)にて改訂版を出版。翌年の1984年にはゴランツ(Gollancz)より"Lies,Inc."として出版され、完成品とされている。日本ではバークリィの改訂版を元に1985年にサンリオSF文庫から「テレポートされざる者」(鈴木 聡 訳)が出版された。1998年には1984年の"Lies,Inc."を「ライズ民間警察機構」として創元SF文庫から出版。1983年に発見された欠落部分は併録する形となった。ディックとしては1966年出版の"The Unteleported Man"を大幅に改訂したものを発表する予定ではあったが、彼の死によって叶えられぬものとなった。

The Zap Gun (1967)
ザップ・ガン
フィリップ・K・ディック/大森 望 訳
創元SF文庫 1989/6/23 初版
所有:1989/12/22 三版
2004年、世界は西側陣営と人民東側に分かれており、両陣営とも新兵器開発に躍起になっていた。ラーズ・パウダードライは霊媒によって新兵器を作り出す兵器ファッション・デザイナーであり、西側陣営にとっては唯一の人物だった。ラーズは東側の霊媒者であり、黒髪の少女リロ・トプチェフを相手に兵器開発を行っていたが、彼らが生み出す兵器は実際には全く戦力にならないまやかしにすぎなかった。その奇抜なアイデア自体が双方への抑止力となり、均衡を保っていたのである。だが、突然シリウスよりエイリアン衛星が地球に送り込まれてきて事態は一変した。ラーズはリロとともに究極の兵器ザップ・ガンを開発しなければならなくなる・・・・・・

1967年にピラミッド・ブックス(Pyramid books)から出版された作品。1989年6月、創元SF文庫より大森 望 訳が出版。2015年3月にハヤカワ文庫より大森氏 訳が復刊。

Counter-Clock World (1967)
逆まわりの世界
フィリップ・K・ディック/小尾 芙佐 訳
ハヤカワ文庫 1983/8/31 初版
所有:1991/5/31 五版
ティンペイン巡査は巡回中に墓場にて人の声を聴いた。彼女にとってそれは決して珍しいことではない。本部に連絡するとともに専門業者であるヘルメス・バイタリュウム商会に連絡をした。連絡を受けたヘルメス・セバスチャンは死の眠りから蘇った人を墓から救い出すべく、雇人に連絡を入れた。セバスチャンは妻ロッタと二人暮らし。5人の雇人とともに老生者の救出を生業としていた。第四次大戦後を生き抜いてきた人々を待っていた世界は世にも奇妙な世界だった。アレックス・ホバートが唱えた説が実際に起きたのは1986年。時間逆流現象は全ての事象にて発生した。テーブルに並べられた料理はフライパンに戻され、元の食材へと姿を変え、人々はマーケットにその食材を戻しに行っていた。死者は蘇り、若返るとともにやがては子宮へと回帰する。この現象は説を唱えた彼の名をとって「ホバート位相」と呼ばれていた。世にユーディ教が広まっているなか、ヘルメス・セバスチャンはユーディ教の始祖であるトマス・ピークを墓から救出した。公安機関「消去局」、ローマ教会、そして現在ユーディ教を布教している狂信的な指導者。トマス・ピークの再生を中心にそれぞれの思惑が交差し、セバスチャンはその暗闘に巻き込まれていく・・・・・・

1967年にバークリィ(Berkley)より出版された作品。1971年6月にハヤカワSFシリーズより小尾 芙佐 訳が出版。1983年8月に同じく小尾氏 訳にてハヤカワ文庫より復刊。

The Ganymede Takeover (1967)
ガニメデ支配
フィリップ・K・ディック&レイ・ネルスン/佐藤 龍雄 訳
創元SF文庫 2014/6/27 初版
所有:同
星間戦争の敗北を機に、地球はガニメデ人の支配下となった。進化の過程で手足がなくなり、ワーム型の体形を持つガニメデ人にとっては地球人はまだ第六段階の進化を遂げたに過ぎず、未だ手足などを持つ下等動物として見下していた。地球人のなかにはウィクスと呼ばれる侵略協力者がおり、ガニメデ人の命令に従っていた。有名なテレビ番組司会者であるジョーン氷芦もその一人であった。彼女はガニメデ人の命令を受けて、大学のかつての同窓生であるパーシィXなる人物との接触を試みていた。パーシィXはテネシー山中を拠点に、多くの黒人とともに未だガニメデ人への抵抗を続けている組織のリーダーであった。彼らは、大農場主であるガス・スウェンズガードが偶然に地中から掘り起こした究極兵器を奪還することに成功した。その兵器とは異端の天才精神科医であるルドルフ・バルカーニが開発したものであったが、一度も使われることなく地中に保管されていたものだった。この兵器の攻撃を受けた者は幻覚に囚われてしまい、容易く仕留めることが可能になった。戦局は大きく変化し、パーシィXらの抵抗軍は優勢に立ったが、この兵器には思わぬ副作用があった。兵器を使用した者さえも幻覚を見るようになってしまうのである・・・・・・

1967年にエースブックスより出版された作品。2014年6月に創元SF文庫より佐藤龍雄 訳が出版。

Do Androids Dream of Electric Sheep? (1968)
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック/浅倉 久志 訳
ハヤカワ文庫 1977年3月 初版(早川書房ハヤカワ・SF・シリーズ3223 1969年6月)
所有:同
第3次世界大戦後の放射能灰が降り注ぐ世界を舞台にした作品。限りなく人間に近く、「フォークトカンプフ感情移入度測定法」という対面での問答によってしか人間ではないことを判別することのできないアンドロイドと、人間を殺害し続ける彼らを追う人間の刑事リック・デッカード。デッカードはあまりにも人間らしいアンドロイドと出会ったため、「人間」と「アンドロイド」との両者の区別を次第に付けられなくなってゆく。主人公を通して「人間とはなにか」という問いかけをおこなっている。

1968年にダブルデイより出版された作品。

Galactic Pot-Healer (1969)
銀河の壺なおし
フィリップ・K・ディック/大森 望 訳
ハヤカワ文庫 1985年5月 初版
所有:同
「壺なおし」を職業とするジョーのもとに、シリウス星系のグリマングから巨額のオファーが届いた。海底に沈む大聖堂ヘルズカラを引き揚げるため、グリマングの待つ惑星へと向かうが…。

1969年にBerkley Medallion Booksより出版され、ダブルデイよりハードカバー版が出版された作品。

Ubik (1969)
ユービック
フィリップ・K・ディック/浅倉 久志 訳
ハヤカワ文庫 1978年10月 初版
所有:同
1992年、予知能力者狩りを行なうべく月に結集したジョー・チップら反予知能力者たちが、予知能力者側のテロにあった瞬間から、時間退行がはじまった。あらゆるものが1940年代へと逆もどりする時間退行。だが、奇妙な現象を矯正するものがあった――それが、ユービックだ!



A Maze of Death (1970)
死の迷宮
フィリップ・K・ディック/飯田 隆昭 訳
サンリオSF文庫 1979年 初版
所有:同
目的も知らず辺境惑星に派遣された14人の男女。外部との接触を絶たれた彼らは、その惑星で歌う人工蝿、不完全な複製を作り出す生命体など不思議な光景を目にする。やがて、1人また1人とメンバーが奇怪な死を遂げ始め…。

1970年にダブルデイより出版された作品。

Our Friends from Frolix 8 (1970)
フロリクス8から来た友人
フィリップ・K・ディック/大森 望 訳
創元SF文庫 1992年1月30日 初版
所有:同
人類の中から突然変異的に現出した一握りの超人たちの前に、六十億の人間はとりえのない〈旧人〉として支配されるしかなかった。一介の〈旧人〉である主人公ニックは勤務先の上司につれられ、圧政を打破せんとする地下組織と出会う。彼らの最後の希望は、十年前、外宇宙に救いを求めて地球を後にした英雄プロヴォーニただ一人だった。

1970年にエースブックスより出版された作品。

We Can Build You (1972)
あなたを合成します
フィリップ・K・ディック/阿部 重夫 訳
サンリオSF文庫 1985年9月 初版
「あなたをつくります」創元SF文庫 佐藤 龍雄 訳
所有:同
弱小電子楽器業者が起死回生の策として打ち出した新商品は精巧な模造人間の製造だった。宇宙開発用ロボットを改造し、歴史上の人物に関する生前のありとあらゆるデータを詰め込んで、この世に“再生”させたのだ。しかも驚いたことに、そいつらは人間以上に人間らしかった。彼らはこれをアメリカ一の実業家に売り込もうと画策するが……

1972年にDAWブックスより出版された作品。

Flow my Tears, the Policeman Said (1974)
流れよわが涙、と警官は言った
フィリップ・K・ディック/友枝 康子 訳
サンリオSF文庫 1981年 初版
所有:同
3000万人のファンから愛されるマルチタレント、ジェイスン・タヴァナーは、安ホテルの不潔なベットで目覚めた。昨夜番組のあと、思わぬ事故で意識不明となり、ここに収容されたらしい。体は回復したものの、恐るべき事実が判明した。身分証明書が消えていたばかりか、国家の膨大なデータバンクから、彼に関する全記録が消え失せていたのだ。友人や恋人も、彼をまったく覚えていない。"存在しない男"となったタヴァナーは、警官から追われながらも、悪夢の突破口を必死に探し求めるが……

1974年にパンナム社より出版された作品。

Deus Irae (1976)
怒りの神
フィリップ・K・ディック/ロジャー・ゼラズニイ/仁賀 克雄 訳
サンリオSF文庫 1982年 初版
所有:同
第三次大戦で地球は全滅した。 人々が奇妙な逆説を信仰したためだった。 エネルギー調査開発庁長官カールトン・ルフトオイフェルは数字の詐術を巧妙に使った演説で人々を説得したのだ。

1976年にダブルデイより出版された作品。

A Scanner Darkly (1977)
暗闇のスキャナー
フィリップ・K・ディック/山形 浩生 訳
創元SF文庫 1991年 初版
所有:同
どこからともなく供給されるドラッグ、物質Dがアメリカ中に蔓延していた。覆面麻薬捜査官ボブは捜査のため自らも物質Dを服用、捜査官仲間にさえ知らせずに麻薬中毒者のグループに紛れこむ。だがある日、彼は上司から命令をうけた。盗視聴機を仕掛け、ボブという男を――彼自身を監視せよと。彼は命令に従うが……。

1977年にダブルデイより出版された作品。

VALIS (1981)
ヴァリス
フィリップ・K・ディック/大滝 啓裕 訳
サンリオSF文庫 1982年 初版
所有:同
1971年カリフォルニア。主人公のSF作家ホースラヴァー・ファットは、友人の自殺を切っ掛けに現実を喪失しはじめる。薬物依存と精神衰弱の果て、ついに、1974年3月、ピンク色の光線を額に照射される。

1981年にパンナム社より出版された作品。

The Devine Invasion (1981)
聖なる侵入
フィリップ・K・ディック/大滝 啓裕 訳
創元SF文庫 1990年12月21日 初版
所有:同
マニーは外宇宙で母親の処女受胎によって生をうけた。邪悪なゾーンに覆われた地球に送り込まれようとしたとき、事故が発生し、マニーは一切の記憶を失ってしまう……。六年がすぎ、マニーはジナという名の少女に出会った。彼女に導かれるようにマニーは自分の正体を知っていくが……。『ヴァリス』の主題を展開させた、二〇〇年後の物語。

1981年に Timescape Books /サイモン&シュスターより出版された作品。

Radio Free Albemuth (1985)
アルべマス
フィリップ・K・ディック/大滝 啓裕 訳
サンリオSF文庫 1987年8月1日 初版
所有:同
わたしはP・K・ディック、SF作家である。わたしの親友のニコラスが、ある日神秘体験を得た。何かが星の彼方から啓示を送ってくるという。ニコラスはそれをVALISと呼んだ。折しも合衆国では、新しい大統領が、国家転覆を目論む破壊活動機関の存在を主張、これを粛正せんと動きだした。わたしも取締官にマークされ…。

1985年にアーバーハウスより出版された作品。

Nick and the Glimmung (1988)
ニックとグリマング
フィリップ・K・ディック/菊池 誠 訳
筑摩書房 1991年8月3日 初版
所有:同
P・K・ディックの動物園へようこそ! ここは不思議で奇妙な「動物たち」がうごめき、楽しい冒険が待つキッチュな世界

1988年にゴランツより出版された作品。

長編作品
Voices from the Street(1950)
市に虎声あらん
フィリップ・K・ディック/阿部 重夫 訳
平凡社 2013/8/13初版
黙示録的な雰囲気の漂うサンフランシスコを舞台に、不安と妄想に引き裂かれる自我の怪物
2007年にトアブックスより出版された作品。1950年代初頭には書かれていたとされている。


The Broken Bubble(1956)
未翻訳のため、和名なし
Humpty Dumpty in Oakland is a realist, non-science fiction novel authored by Philip K. Dick. Originally completed in 1960, but rejected by prior publishers, this work was posthumously published by Gollancz in the United Kingdom in 1986. An American edition was published by Tor Books in 2007.
1956年にアーバーハウスより出版された作品。


Confessions of a Crap Artist(1975)
戦争が終わり、世界の終わりが始まった
フィリップ・K・ディック/飯田 隆昭 訳
昌文社 1985/12/1初版
時は、1950年代。場所は、北米カリフォルニア。ジャック・イシドール。34才。迷える子羊のような男。 雑多な情報、知識にうつつをぬかし、現実と空想の区別もつかない。 「いんちき芸術家」と嘲笑される。この世の終りを確信している。 フェイ・ヒューム。ジャックの妹。手がつけれないほど身勝手な、頭のいい、魅力のある女。 チャーリー・ヒューム。フェイの夫。工場の経営者。ビール好き。口下手。 ネーサン・アンティール。28才。弁護士を夢見る法学生。本物のインテリ。

2017/12/19に「ジャック・イジドアの告白」としてハヤカワ文庫(阿部重夫 訳)にて出版された。
1975年にエンウィッスル・ブックスより出版された作品。


The Transmigration of Timothy Archer(1982)
ティモシー・アーチャーの転生
フィリップ・K・ディック/大瀧 啓裕 訳
創元SF文庫 1997/2/1初版
キリスト教の教義を疑い、真実を求めて古代文書を解読していた高名なアーチャー主教は、そのために地位を失い、ひとり死海へ旅立ち消息を断った。だが……。ジョン・レノンが死んだ日、主教をよく知るエインジェルは一部始終を語りはじめる。鬼才作家ディックの遺作となった名作。『ヴァリス』に始まる、死と救済をめぐる三部作の完結編。
1982年にTimescape Books /サイモン&シュスターより出版された作品。
The Man Teeth were All Exactly Alike(1984)
未翻訳のため、和名なし
A tale originally penned in 1960 just prior to the Hugo Award-winning The Man in the High Castle follows the experiences of a civic-minded, liberal Jewish real-estate agent who envisions high profits in the wake of a discovery of Neanderthal bones in his California selling area.
1984年にマーク・V・ジーシング社より死後に出版された作品。


Puttering about in a Small Land(1985)
小さな場所で大騒ぎ
フィリップ・K・ディック/飯田 隆昭 訳
昌文社 1986/12/20初版
ロサンゼルスの電気器具販売・修理店を営むロジャーとその妻ヴァージニア。物語はヴァージニアが喘息の持病を持つ息子グレッグのために、とある学校を訪れるところから始まる。週末は子どもを家に帰さないといけないため、ヴァージニアは自宅近くに住むボナー夫妻と相談し、車の送迎のことで合意を見る。しかしロジャーはボナー夫人であるリズと不倫の関係に陥ってしまう…。
1985年にアカデミー・シカゴ・パブリッシャーズより死後に出版された作品。


In Milton Lumky Territory(1985)
未翻訳のため、和名なし
In Milton Lumky Territory is a realist, non-science fiction novel authored by Philip K. Dick. Originally written in 1958, but rejected by prospective publishers, this book was eventually published posthumously in 1985 by Dragon Press.
1985年にドラゴン・プレスより死後に出版された作品。


Humpty Dumpty in Oakland(1986)
未翻訳のため、和名なし
Humpty Dumpty in Oakland is a realist, non-science fiction novel authored by Philip K. Dick. Originally completed in 1960, but rejected by prior publishers, this work was posthumously published by Gollancz in the United Kingdom in 1986. An American edition was published by Tor Books in 2007.
1986年にゴランツより出版された作品。


Mary and the Giant(1987)
メアリと巨人
フィリップ・K・ディック/菊池 誠 訳
筑摩書房 1992/12/1初版
日常への嫌悪、愛することへの怖れ、理解されないいらだちをいっぱいに抱え込んだまま、少女の運命は静かに転がり始める。行きつく先は?
1987年にアーバーハウスより出版された作品。




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